こどもがたばこを吸ってはいけないことを理解し、誘われても「喫煙しない」という選択ができるようになることは、すこやかな成長と将来の健康のためにとても重要です。また、周りの大人がたばこの煙をこどもに吸わせてしまうことは、こども自身が吸うのと同じくらいの悪影響があります。家族で禁煙に取り組みましょう。
◆こどもの喫煙/受動喫煙の危険性(リスク)
- ❶からだの健康への悪影響:成長期のこどもは、たばこの有害物質※の影響を受けやすく、心臓病の危険性が高くなったり、運動するとすぐに疲れたり、息切れしたりします。また、身長が伸びなくなり、しみやしわができやすくなる、歯周病にかかりやすくなるなど、からだに与えられる影響がとても大きいです。
- ❷脳への悪影響:脳の成長が妨げられる、記憶力や集中力が落ちるといった影響や、怒りっぽくなる、自己中心的になるなどのさまざまな悪影響があります。
- ❸大人よりも依存症になりやすい:ニコチンは覚せい剤やコカインなどの薬物よりも依存性が高いといわれており、こどもは大人よりもニコチン依存症になりやすいといわれています。
- ❹副流煙を吸わされる受動喫煙も健康への悪影響が大きい:たばこを吸っている人が吸う主流煙よりも、たばこの火がついた先から出る副流煙に含まれる有害物質のほうが多いといわれています。そのため、受動喫煙によってがんや脳卒中、虚血性心疾患、呼吸器疾患などのさまざまな病気のリスクが高くなります。
- ※たばこの3大有害物質…ニコチン(血圧をあげる、強い依存性がある)
一酸化炭素(血液中の酸素が運ばれにくくなり、酸素不足を引き起こす)
タール(発がん性物質が含まれ、さまざまながんの原因になる。肺を黒くする)
家族でこどもの喫煙防止・受動喫煙防止に取り組もう
●喫煙してはいけない理由を説明する
20歳未満の喫煙は法律違反になるだけでなく、充実した学校生活や健康な未来の妨げになることを説明し、理解させましょう。
●誘われたときの断り方を練習する
こどもが友人や先輩から喫煙を誘われてもキッパリと断れるように、断り方を練習しておきましょう。
●親も禁煙する
親が喫煙しているとこどもの喫煙率が高くなります。受動喫煙することも多くなるため、親も禁煙することがすすめられます。また、喫煙や受動喫煙は胎児の発育に悪影響を及ぼすことがわかっています。妊娠がわかる前から禁煙することが望ましいでしょう。
●加熱式たばこも安全ではない
加熱式たばこは、たばこの葉やその加工品を電気で加熱し、発生させた煙(蒸気)を吸入するもので、煙には多くの有害物質が含まれます。
監修:関西福祉科学大学教育学部教育学科
教授 西元 直美